WEBサイトの盗作問題について

このサイトでは、WEBサイトにおける「記事の盗作」、および「パクリ(コピー)サイト」の被害に遭ってしまった場合に、

 

 ・どのような対処を行えばよいのか?
 ・被害に遭わないための予防策はあるのか?
 ・もし盗作をした場合、どの程度の罪になるのか?

 

といった点について、管理人が調べたことをなるべくわかりやすくまとめ、具体的に解説することを目的に作成しました。

 

WEBサイトのコピーというのは技術的には非常に簡単なことですが、コピーされた方は心情的にも経済的にも多大な被害を被る可能性があります。
安易な盗作を許さないためにも、いざという時の対処や予防法についての最低限の知識は身につけておきたいところです。

 

私自身過去にサイトを丸ごと盗作され、非常に辛い思いをしたので、他の人が同じような目に遭わないように、少しでもこのサイトが役に立てば幸いです。

 

まず最初に『本当にパクられたのかどうか?』を確認しよう

盗作被害に遭った場合の対処方法を解説する前に、まずは『本当にパクられたのかどうか?』という点について再確認する必要があります。
日本の法律では、実は「パクリである」と立証するためのハードルは意外と高く、明確な証拠がない限りは責任を追及することは難しいからです。

 

例えば有名な例をひとつあげると、漫画家の松本零士さんが歌手の槇原敬之さんの歌の歌詞をパクリであるとして争われた訴訟では、「槇原さんが松本さんの作品を見て歌詞を書いたとは立証できない」という点により、松本さんは東京地裁で敗訴し、むしろ槇原さんへの名誉毀損が認定されてお金を払う結果になっています(当記事下段にて詳述)。
この例を見てもわかるように、盗作であるという事実を立証するのはかなり難しいのです。

 

つまり、「文章の表現がたまたま似ている」「画像の構図やアイデアが似ている」といった程度では、日本の著作権法は必ずしも私たちを保護してはくれないということです。
この点をしっかり理解した上で、どのような対処を取るのかを決めないと、無駄なお金や労力を費やした上に、しかも裁判で負けるという最悪の事態にもなりかねないので注意しましょう。

 

盗作被害に遭った場合の対処法

ではパクられたと確信でき、それをやめさせたい場合、どういう手段をとるべきでしょうか。

 

1.証拠を確保する
自分の正当性を主張するためには、その根拠を固めることが必要です。
簡単なのは、プリンターで現状を印刷したり、写真にとるなどすることですが、これは客観性に欠けるため、改ざんが疑われる恐れがあります。
証拠としてより価値が高いのは、第三者の立場から現状を保存してもらうことです。例えば自サイトと相手サイトの現在の状況をWEB魚拓やウェブアーカイブなどを利用して保存することを考えましょう。
WEB魚拓とはその名のとおり、釣った魚の魚拓をとるようにWEBサイトの現在の様子を保存できる第三者のサイトです。第三者のサイトですから、相手方も、自分すらも改ざんはできない上、日時分秒まで保証してくれることから、相手方は黙ってパクリ記述を消して逃げることができなくなります。詳しくは当該サイトをご覧下さい。
WEB魚拓(外部リンクhttp://megalodon.jp/)

 

また、すでに相手方が記述を消していたり、あるいはパクリ行為が行われた時点が相当古い(2008年以前)場合、ウェブアーカイブというサイトに残されているデータを利用することもできます。
WEBアーカイブ(外部リンクhttp://www.archive.org/web/web.php)

 

2.相手の連絡先を確認する
証拠を確保したら、次に相手に連絡する手段を考えましょう。
連絡先のメールアドレス等が表示されている場合は問題ありませんが、それが虚偽である場合や、全く連絡手段が見当たらない場合も存在します。
確信犯の場合であればあるほど、こうした個人情報は隠す傾向があります。
その場合、whoisの情報を利用して管理者情報を得たり、プロバイダを通じた開示を請求することが必要になってきます。
whoisとは、WEBサイトのURL(アドレス)の管理者情報を照会できるツールで、これによってサイトの管理人の連絡先を直接取得できる場合もありますし、少なくともプロバイダの連絡先を得ることができます。

 

具体的には以下のようなサイトです。
JP WHOIS http://whois.jprs.jp/
ANSI Whois Gateway http://whois.ansi.co.jp/

 

相手の連絡先を得たら、1.で確保した証拠を明示の上、抗議文を送付しましょう。文例はこのエントリの最後に付録としてつけておりますので、ご参考にして下さい。

 

プロバイダの連絡先しか得られなかった場合には、プロバイダに問い合わせる形になります。一般的な問い合わせ文については、また本エントリ末尾に記載しておりますのでご参考にして下さい。ただこのケースについては、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」に基づく、発信者の開示請求を行うことができる場合もあります。詳しくは以下のサイトにまとめられていますので参考にして下さい。
http://www.isplaw.jp/

 

3.広告主に抗議する
しかし、whoisの情報が正しいとは限りませんし、プロバイダが開示に応じるかどうかもケースバイケースです。また抗議文も、黙殺される可能性が高いです。返事があったとしても、素直にこちらの要求に応じてくれるかどうかは分かりません。

 

このように直接連絡できない場合、あるいは連絡しても効果が薄かった場合は、以下のようなからめ手から攻めてみる手もあります。
特に、いわゆるアフィリエイトサイトではASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)と呼ばれる広告主が出稿している場合が多いです。
そこに当該サイトの違法行為を告発し、出稿をやめてもらうのです。
上手く行けば、資金源を断たれた当該パクリサイトは閉鎖、あるいは放置され、少なくとも今後痛い目にあわされたあなたのサイトに手を出すことはなくなるでしょう。

 

なお、広告主へのメールの文例を、このエントリの最後に付録としてつけておりますので、参考にして下さい。

 

 

盗作を立証し、相手に改善させるとの難しさ

『まず最初に確認すべきこと』の項でも少し述べましたが、実際問題、著作権で相手を追い詰めることはかなり難しいです。
また、記事の盗作を立証できたとしても、裁判に持ち込めば費用もかかりますし、かかる時間も手間も膨大です(後述)。抗議し、改善をせまることに時間を浪費するくらいなら、その時間で新たなコンテンツを作っていくほうが生産的である場合もあるでしょう。
もし、あなたのサイトがビジネスとして運営しているものであれば、ビジネスマンとしての現実的な決断が必要になってくるでしょう。「放置」という選択肢も頭においておくべきです。

 

裁判覚悟で戦っていくつもりなら

それでも相手が悪質きわまりなく、被害額も膨大で、どうしても対処したいと考える場合は、まず著作権法108条から111条に規定されている「文化庁長官によるあっせん」を依頼することを検討してみましょう。
メリットとしては申請費用が46,000円と裁判よりも安上がりであり、時間もそれほどかからずに、著作権法に精通した専門家があっせん委員として間に立ち、紛争解決にあたってくれることが挙げられます。
ただし、これは和解を目指す手続ですので、パクった相手方がこれに応じなければ成立しないという大きな欠点があります。無視あるいは拒否されたらおしまいなのです。

 

あっせんが無理であるなら、やはり裁判しかありません。相手のサイトが自分のサイトをパクったという明確な物的証拠を固めた上で、無料の法律相談などに持ち込んでみるとよいでしょう。なお、ここでいう証拠は、客観的なものでなくてはなりません。あなたがいかに確信していても「うまく言えないが、間違いなくパクられたのだ」では裁判は成立しないのです。

 

なお肝心の裁判費用についてですが、主としてかかるのは弁護士費用です。

 

弁護士費用には、大きく分けて弁護士報酬と実費があります。
実費というのはいわゆる必要経費のことです。収入印紙代や交通費、コピー代など、弁護活動の必要上発生した費用のことで、こちらについては想像しやすいのではないかと思います。
一方弁護士費用ですが、これは更に着手金と報酬金にわかれます。
着手金とは結果の成否にかかわらず発生する費用のことで、報酬金はいわゆる成功報酬のことです。
なお、気をつけなければいけないのは、完全に敗訴しない限り、成功報酬はゼロにならないということです。部分勝訴だったり、和解できた場合にもこれを支払う必要があることにご注意ください。
具体的な金額についてですが、昔はあったようなんですが、現在ではこれら弁護士費用には金額面での明確な基準がなく、事実上弁護士の言い値になっているようです。(弁護士会には一応自主規制のような形の文書がありますが、具体的な金額を規定するものではありません)
ちなみに一例として筆者の友人の弁護士に問い合わせてみたところ(そんなの損害額にもよるし、一概には言えんよ、とかなり返答を渋られましたが)おそらく着手金30万、報酬金30万あたりだろう、とのことです。
なお、成功報酬の割合が大きいことからもわかるように、勝ち目のない裁判には、弁護士もついてくれません。仮についてくれても、高額な着手金が請求されることになると思われます。ご注意ください。

 

盗作被害に遭わないための予防策

ここまでみてきましたように、パクリにあってしまうと、ダメージばかり大きく、反撃手段も心もとないのが現状です。できることならパクられないのが一番いいに決まっています。以下にいくつか、パクられないための、あるいはパクられてもはっきりパクられたことがわかるように罠をしかけるテクニックをご紹介します。

 

○「無断転載お断り」などの記述をしっかり書く
ここでのねらいは『こいつとトラブルになると面倒臭そうだ』と思わせることです。
サイトの目立つところに、禁転載、転載等不法行為を発見した場合は法的手段を含めた断固とした対応をとる旨を、はっきりと記載しましょう。もし弁護士の知人がいれば、顧問弁護士として名前を貸してもらうことを依頼してみるのもいいでしょう。また、最近は海外からのパクリ被害も増加していますので、サイトの種類によっては英語や中国語、韓国語など、外国の言葉でも表記しておく必要があるかもしれません。
ただし、これはやりすぎると、本来のお客さんまで引かせてしまう恐れもありますので、バランスに注意してください。

 

○右クリック抑止
画像サイトで特に有効ですが、JAVAスクリプトなどで右クリックメニューを表示できなくすることができます。そうすれば、右クリックして名前をつけて画像を保存、がやりにくくなります。最近では画像サイトでなくても、サイトデザインをパクるためにソースファイルを表示して盗む行為も行われているようですので、画像サイトでなくても有効な場合があります。

 

○ソース上に自分にしかわからないコメントを仕込んでおく
これはパクられてしまった場合の対策になるのですが、ソースファイルの中に、コメントとして「このサイトは○○のものです」といった記載を忍ばせておくことも有効です。ソースの上のほうや、下のほうといった目立つ位置ではなく、サイト中の記述の多いごちゃごちゃした部分に忍ばせておくことがポイントです。これによって、誰がパクったのか明確になります。特に「パクったのはお前の方だろう」などと居直る輩に大変有効です。

 

○BOTよけや検索よけ
検索でアクセスを稼ぐアフィリエイトサイトなどでは不可能ですが、身内むけのサイトであったり、会員制のサイトの場合は、サーバ上にbot.txtというファイルを設定することで、そもそも検索にひっかからないようにし、招かれざる客の訪れを遮断することもできます。これは、検索を利用して自動的にあちこちから文章をパクって、検索順位を上げて利益獲得をもくろむ、いわゆるワードサラダといった不正行為の防止にも役立ちます。なお、bot.txtファイルの設定についてはこちらのサイトの記述が参考になると思います。
教えて!goo 「ロボット検索にヒットされない仕組みについて」http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1930198.html

 

○怪しいユーザーの.htaccesファイルによるアクセス制限
アクセス解析などで、不正な閲覧者のIPアドレスが特定できる場合は、サーバー上に.htaccesファイルを設定することで、その閲覧者のアクセスを拒絶することも検討しましょう。なお、.htaccessファイルの設定についてはこちらのサイトの記述が参考になると思います。
IT用語辞典「.htaccessとは」 http://e-words.jp/w/2Ehtaccess.html
ネットマニア「.htaccessでアクセス制限」 http://www.netmania.jp/technique/hp/hp006.php

 

 

過去に実際にあった盗作被害に関する判例

最後に、実際に争われた著作権事件の実例を提示します。

 

○記念樹事件(最高裁判決H15年3月11日)
服部克久氏が作曲した「記念樹」という曲(人気番組『あっぱれさんま大先生』のエンディングテーマとして有名)が、小林亜星氏が作曲したCMソング「どこまでも行こう」の盗作であるとして争われた事件。最終的に著作権侵害が肯定され、合わせて約940万円の損害賠償命令で決着。

 

○松本零士氏が、槇原敬之氏の創作した歌詞が、松本氏の漫画の台詞の盗用であるとテレビ等で公言したことにより、槇原氏側が名誉毀損を訴えた事件(東京地裁H20年12月26日)
槇原氏の当該歌詞は、松本氏の漫画の台詞をパクったものであるという証拠は認められないとして、著作権侵害は否定、逆に松本氏側の槇原氏に対する名誉毀損を認定、220万円の支払いを命じた。

 

(付録)問い合わせを行う際のメール例文

まず、注意すべきポイントは感情的になりすぎないことです。喧嘩になってしまっては、解決するはずだったものも解決しなくなってしまいます。冷静な対応を心がけましょう。
次に、証拠を明確に提示することです。こちらが盗作の事実をはっきりとつかんでいることを、シンプルに提示しましょう。証拠ほど雄弁なものはありません。
また、あまり文章が長くなりすぎないようにすることも重要でしょう。相手にとっては気持ちのいいメールではないはずですから、冗長になれば、最後まで読んでくれず、結果として対応してくれない可能性が上がります。

 

では、具体例を以下に提示します。

 

1.相手サイトの管理者へ直接連絡する場合

 

××(相手の名前)様

 

はじめまして。△△というサイトを運営しております、○○と申します。
本日は××様の管理しておられる□□というサイトについて、お尋ねしたい点があり、ご連絡させていただきました。
貴サイトの以下のページ内容が、幣サイトのページ内容と酷似しており、大変困惑しております。

 

(パクリサイトURLあるいはWEB魚拓)
(自分のサイトのURLあるいはWEB魚拓)

 

ちなみに私の当該ページの更新日時は……であり、貴サイトよりも早いと思われます。
早急に当該記述を削除いただきたく存じます。

 

以上、ご対応をよろしくお願いいたします。

 

 

2.レンタルサーバー管理会社、あるいはプロバイダへ問い合わせる場合

 

××(会社名等)ご担当者様

 

はじめまして。△△というサイトを運営しております、○○と申します。
本日は貴社の管理しておられる□□というサイトについて、お尋ねしたい点があり、ご連絡させていただきました。
以下のページ内容が、幣サイトのページ内容と酷似しており、大変困惑しております。

 

(パクリサイトURLあるいはWEB魚拓)
(自分のサイトのURLあるいはWEB魚拓)

 

ちなみに私の当該ページの更新日時は……であり、当該サイトよりも早いと思われます。
早急に当該記述を削除していただけるよう、当該サイト管理人様にご連絡差し上げたいのですが、サイト上に連絡先の記述がございません。
つきましては、当該サイト管理者の方への連絡先をお教え願えませんでしょうか。

 

以上、お手数をおかけしますが、ご対応をよろしくお願いいたします。

 

 

3.パクリサイトに出稿している広告主へ連絡する場合
××(会社名等)ご担当者様

 

はじめまして。△△というサイトを運営しております、○○と申します。
本日は貴社が広告を出稿しておられる□□というサイトについて、お尋ねしたい点があり、ご連絡させていただきました。
以下のページ内容が、幣サイトのページ内容と酷似しており、大変困惑しております。

 

(パクリサイトURLあるいはWEB魚拓)
(自分のサイトのURLあるいはWEB魚拓)

 

ちなみに私の当該ページの更新日時は……であり、当該サイトよりも早いと思われます。
早急に当該記述を削除していただけるよう、当該サイト管理人様にご連絡差し上げたのですが、いまだご対応いただけていない状態です。
今後もさまざまな手段で粘り強く対応を働きかけてゆく所存でございますが、その過程でまったくの第三者である御社の企業イメージに万一傷をつけることがあっては大変申し訳ないため、ご連絡させていただきました。

 

以上、お騒がせして申し訳ございませんが、ご承知置きくださいますよう、よろしくお願いいたします。